不動産投資は毎月安定した家賃収入を得られる投資方法(副業)として人気があります。家賃収入は不労所得にあたり、将来的には年金の不足分を補う働きにも期待できます。

老後2,000万円問題をきっかけに投資に興味を持った方の中には、不動産投資に興味を持った方もいるでしょう。

この記事では不動産投資の仕組みやメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。

不動産投資の特徴を理解した上で検討してみてください。

スポンサーリンク

不動産投資とは

不動産を購入して収益を狙う投資方法

不動産投資とは、マンションやアパートを一棟丸ごと、あるいは一室を購入して利益を狙う投資方法です。

家賃収入や購入した不動産を売却した際に得られる売却益が主な収益になります。

不動産投資を始めるために必要な資金は、購入する不動産の種類や条件によって異なってきます。

購入する物件によっては20〜30代の会社員でも始められるということで、近年人気を集めている投資方法です。

スポンサーリンク

不動産投資と株式投資の違いは何か

一般的に、不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」とされています。

他の投資方法の評価として、株式投資は「ハイリスク・ハイリターン」、預貯金は「ローリスク・ローリターン」といわれています。

リスクとは不確実性のことで、投資した結果がプラスになるかマイナスになるのかわからない収益の変動幅を指します。

不動産投資の主なリターンである「家賃収入」は安定的に得られる可能性が高く、実物資産の特性上、価値が突然なくなる可能性は低いです。

一方で、株式投資は株価の変動幅が大きく、配当も家賃収入と比較すると安定しているとはいえません。

不動産投資の収益の仕組みは簡単

家賃収入(インカムゲイン)

「家賃収入」とは、購入したマンションやアパートの一室、あるいは一戸建を第三者に貸し出して得る収入のことです。

基本的に家賃は毎月変動せず、一定の金額が入ってきます。

インカムゲインの代表例に株式の配当がありますが、配当は景気や企業の業績によって金額が変動することが多々あります。

不動産の家賃収入は景気の影響を受けにくく、毎月安定した収益を期待できます。

現在は、家賃収入を目的とした不動産投資が主流です。

スポンサーリンク

売却益(キャピタルゲイン)とはどういう意味ですか

「売却益」とは、不動産を購入価格よりも高い価格で売却できた際の利益のことです。

考え方としては、株式投資の売却益(キャピタルゲイン)と同じです。

例えば、3,000万円で購入した不動産を3,500万円で売却した場合、差額の500万円が利益となります。

もし売却時の価格が2,500万円に値下がりすると、500万円の損失です(売却するまでに家賃収入で500万円以上の収益があれば、トータルで見てプラスになります)。

不動産投資の主な種類

区分マンション(ワンルームマンション投資)

区分マンション投資とは、マンションを一室単位で購入し運用することです。代表的なものに「ワンルームマンション投資」があります。

区分マンションのメリットは、投資の初期費用を抑えられる点です。

マンション一室の購入から始められるため、一棟マンション・アパートや一軒家を購入するより購入価格を抑えられます。

維持費や固定資産税など、不動産投資を続ける上で発生する費用も少なく済むため、不動産投資初心者の方でも手を出しやすい投資です。

デメリットは空室リスクや、高利回りを狙いにくい点です。基本的に入居者がつかない期間は、家賃収入を得られません。

また、駅近やオートロックなど、入居者にとって条件のいい物件は物件価格が高くなりがちなため、利回りが低くなる可能性もあります。

スポンサーリンク

区分マンションのメリット・デメリット

メリット ・投資費用を抑えられる
・不動産投資初心者でも着手しやすい
デメリット ・空室リスクが大きい
・高利回りが狙いにくい

一棟アパート・マンション

一棟アパート・マンション投資は、マンションやアパートを一棟丸ごと購入して貸し出す運用です。

一棟アパート・マンションのメリットは空室リスクを比較的抑えられる点や家賃収入が多い点、比較的自由な賃貸運営が可能な点にあります。

所有する部屋数が多いため、一部屋・二部屋が空室になっても収益への影響は少ないです。

また、入居条件の緩和や共用部分を含めた大規模な修繕・リノベーションなどの判断をオーナーの意思で行えます。

デメリットは投資費用が高くなりやすい点や分散投資しにくい点です。

一棟買いするため、区分マンションと比較すると不動産の購入金額や維持費、税金などのコストが多くかかります。

複数のマンション・アパートを購入することが中々難しいため、リスク分散しにくい点も考慮する必要があります。

スポンサーリンク

一棟アパート・マンションのメリット・デメリット

メリット ・空室リスクを比較的抑えられる
・家賃収入が多い
・自分の判断で運用しやすい
デメリット ・投資費用が高額
・(複数運用できないと)リスク分散しにくい

戸建(一軒家)

戸建投資は一軒家を購入し、入居希望者に貸し出して家賃収入を得る投資方法です。

戸建の場合ファミリー層が狙えるため、一度入居してくれると長期間の家賃収入が期待できます。

また、マンションやアパート投資と比較すると立地の影響を受けにくい特徴もあります。

入居者が駅近のようなアクセスの良さではなく、生活の利便性や居住環境を基準に選ぶことが多いからです。

例えば、小さなお子さんがいる家庭や楽器演奏が趣味の方など、音が原因となる苦情を避けたい方にとって戸建は魅力的です。

戸建の場合は建物だけではなく土地の割合も高くなるため、資産価値が下落しにくい点もメリットになります。

デメリットは修繕費が高くなりやすく、投資拡大のスピードが遅い点などが挙げられます。

スポンサーリンク

戸建(一軒家)のメリット・デメリット

メリット ・長期間の家賃収入が期待できる
・立地の影響を受けにくい
・資産価値が下落しいくい
デメリット ・修繕費が高くなりやすい
・投資拡大のスピードが遅い

REIT(不動産投資信託)

REITとは、投資家から集めたお金で運用会社が不動産投資を行い、得た利益を投資家に還元する金融商品です。

投資家は不動産を直接購入せず、証券会社を通じて投資信託を購入します。

REITのメリットは流動性が高い点やプロが管理・運用してくれる点です。

プロが不動産の管理・運用を行うため、投資家自身が管理・運用する手間はありませ

デメリットはREITを運営する会社の倒産や上場廃止リスクがある点、相場変動の影響を受ける点です。

流動性が高く売却が容易であるため、株式のように短期間で大きく値下がりする可能性があります。

スポンサーリンク

REIT(不動産投資信託)のメリット・デメリット

メリット ・不動産に気軽に投資できる
・現物不動産を持つリスクがない
・流動性が高い
・プロが管理・運用する
デメリット ・運営会社の倒産
・上場廃止リスク
・相場変動の影響を受ける

不動産投資のメリット

自己資金以上の金額で投資できる

不動産投資を行う際は、ローンを組むことが一般的です。

ローンを組むことで自己資金以上の金額で投資ができるため、実質的に「レバレッジ」をかけた投資ができます。

家賃収入をローンの返済に充てられるため、想定通りの運用ができればローンの返済は負担になりません。

安定した運用・収入が見込める

株式の配当とは違い、家賃収入は変動幅が小さく安定した収入が見込めます。

建物も日々価格が変動することはなく、実物資産であるため、ある日突然価値がなくなることも考えにくいです。

仮に空室が出ても一定期間の賃料を補償する制度を設けている​管理会社​もあるため、安定した収入が見込めます。

ただし、空室補償制度を利用するためには毎月の掛け金が必要になることは留意しておきましょう。

スポンサーリンク

節税効果が期待できる

不動産投資は、節税効果が期待できます。

不動産投資にかかる経費が家賃収入を超えた際の赤字を給与所得と損益通算し、相殺することで課税所得金額が減る仕組みです。

例えば、ある年の不動産投資にかかった経費が150万円、不動産所得が120万円、給与所得が550万円の会社員がいたとします。

この場合、不動産所得の収支は30万円の赤字です。

30万円の赤字を給与所得と損益通算すると、課税所得金額は520万円(550万円 – 30万円)になります。

建物の購入費用は経費ですが、購入した年に全額が経費として計上される訳ではなく、減価償却費として複数年に分けて経費に計上されます。

不動産投資の運用初期は経費を多く計上できるため、節税効果が期待できます。

不動産投資では、ローンを組んで不動産を購入するケースが一般的です。

購入してからしばらくの間は家賃がローンの返済に充てられますが、ローンの返済を終えた後は家賃の大部分がそのまま収入となるため、私的年金の代わりにもなります。

個人年金保険やiDeCoなど、他の私的年金と比較して不動産投資は支払いを家賃で賄っている点が特徴です。

ローンを組んで投資を行うため、負債が増える点には注意が必要ですが、手元に資金を残しながら私的年金を準備できる点は不動産投資のメリットといえます。

もちろん、定年よりも早く返済が終了すれば老後までの間は安定した定期収入が増えることになります。

スポンサーリンク

生命保険・死亡保険代わりになる

不動産投資でローンを組む際は、団体信用生命保険(団信/だんしん)に加入します。

団信にはいくつか種類があり、代表例はがんになった際にローンが完済されるものや、がん・心疾患・脳卒中の三大疾病になった際にローンが完済されるタイプです。

仮にローンの返済期間中に万一のことがあったとしても団信の保障でローンは完済され、家族に負担を強いること無く投資用不動産という資産を遺せます。

家族は不動産の所有を続けて家賃収入を得たり、売却してまとまった現金を入手できることから、生命保険・死亡保険の代わりになるといわれています。

インフレ時のリスクヘッジになる

物価が上がり、お金の価値が相対的に下がる現象を「インフレ」といいます。

例えば、りんごの価格が100円から200円に上昇した場合、200円あればりんごが2個買えていたのが200円で1個しか買えなくなったため、お金の価値が下がったと考えられます。

不動産は実物資産(物)であるため、インフレで物価が上がる際は不動産価格も同時に上昇することから物価変動に強い資産といえます。

スポンサーリンク

現金と比べて相続税が抑えられる

不動産価格と同額の現金を相続した場合と比較して、不動産を用いたほうが相続税の節税になることがあります。

現金は遺された金額がそのまま相続財産となりますが、不動産の相続税評価額は時価よりも低い評価となることが多いためです。

実際にどの程度相続税を抑える効果があるかは地域や条件によって異なりますので、詳細は税理士に問い合わせることをおすすめします。

一例として、例えば人に貸している状態と貸していない状態では、使い勝手の観点から人に貸している状態の方が相続税評価額が少なくなりやすいです。

スポンサーリンク

不動産投資のデメリット・リスク

初期費用が必要

不動産投資を始める際には、ある程度まとまった初期費用が発生します。

株式投資や投資信託などのように、手元の余剰資金を使って少額から始めることが難しい点は不動産投資のデメリットです。

個人の属性や購入する不動産によって初期費用として必要な金額は変動しますが、一般的な目安は「不動産価格の13〜15%」ほどといわれています。

主に以下の費用がかかってきます。

  • 頭金
  • 融資事務手数料
  • 融資保証料
  • 収入印紙代
  • 不動産登記費用
  • 司法書士報酬
  • 不動産取得税
  • 固定資産税・都市計画税の精算
  • 仲介手数料
  • 火災保険料・地震保険料

固定費や運用費などのランニングコストがかかる

不動産投資は、不動産を購入した後もコストがかかります。

コストは大きく分けて「定期的に発生するコスト」と「突発的に発生するコスト」の2種類があります。

定期的に発生するコスト 突発的に発生するコスト
固定資産税・都市計画税
所得税・住民税
管理委託費
修繕積立金
共用部分の水道光熱費
火災保険料・地震保険料
点検・清掃費
修繕費
入居者募集費用
退去時の原状回復費用
リフォーム代

不動産投資は最初に不動産を購入したら終わりではなく、その後も管理費や修繕費などのコストが必ず発生します。

そのため、家賃の全額が収入として手元に残らない点、入居者がいない間も管理・メンテナンス費用が発生する点に注意が必要です。

スポンサーリンク

空室・家賃滞納のリスクがある

空室の期間が長かったり家賃を滞納する入居者がいると、家賃収入が安定しないリスクがあります。

空室リスクは、賃貸需要のある物件を選ぶことである程度軽減できます。

入居率が高い管理会社を選ぶことも対策の1つです。

家賃の回収や督促は管理会社に委託するケースが多いため、家賃滞納時の管理会社の対応についてもあらかじめ確認しておきましょう。

流動性が低い(すぐに売却できない)

株式や投資信託などの投資商品と比較すると、不動産は流動性が低い傾向にあります。

不動産の売却には、早くても数週間かかります。

急遽現金が必要になった場合も、すぐに換金できない点には注意しましょう。

不動産価格が下落する可能性がある

不動産投資にも価格変動リスクはあります。

基本的に不動産価格は月日と共に下がるといわれますが、下記の要因でも下落する可能性があります。

  • 土地需要の減少
  • 社会情勢
  • 建物内での事故、事件
  • 自然災害
  • 建物や設備の老朽化

なお、需要の高い人気エリアや開発が進むエリアなどの市場状況次第では、不動産価格が上昇していくこともあります。

スポンサーリンク

金利変動リスクがある

不動産を購入する際に、変動金利でローンを組んだ場合は金利変動リスクにも注意が必要です。

現在の日本は低金利が長く続いているため、変動金利を選ぶ方も多いでしょう。

とはいえ、返済期間を20年、30年と長く設定している場合、返済期間中に金利が上昇する可能性は十分に考えられます。

不動産は高額であり借入額も多くなるため、金利が0.1%高くなるだけでも返済の負担は大きくなります。

変動金利を選んでいる方は、将来的にこういったリスクがある点を理解しておきましょう。

スポンサーリンク

災害リスクがある

災害リスクとは地震や台風など、自然災害により不動産がダメージを受けるリスクです。

自然災害そのものを避けることはできませんが、リスクを抑えることはできます。

地震による損傷を抑えるために新耐震基準を満たす物件を選ぶ、ハザードマップを確認して危険性の低いエリアを選ぶなどです。

他にも地震保険や火災保険に加入し、災害時の補償を得ることも対策のひとつになります。

スポンサーリンク

不動産投資の利回りについて

不動産投資の利回り計算方法は2種類あります。

利回りが高いほど、投資効果は大きいです。

利回りは投資額に対する比率であるため、利回りが10%の場合、10年で投資額を回収できることを意味します。

利回りの計算方法:表面利回り

1つは「表面利回り」です。

表面利回りは1年間の家賃収入を単純に物件価格で割った数値です。

  • 表面利回り = 1年間の家賃収入(収益)÷  物件価格(投資額)× 100

例として、3,000万円で購入した物件に対する年間の家賃収入が300万円の場合を試算します。

  • 表面利回り = 300万円 ÷ 3,000万円 × 100 = 10%

上記の例では、表面利回りは10%となりました。

一般的に物件情報に記載されている利回りは表面利回りであることが多いです。

スポンサーリンク

利回りの計算方法:実質利回り

もう1つは「実質利回り」です。

実質利回りは、1年間の家賃収入から経費を差し引いた金額を物件価格と購入時の諸経費を足した金額で割った数値です。

経費には固定資産税や火災保険・地震保険などの保険料、管理費、修繕費などが含まれます。

購入時の諸経費には、仲介手数料や印紙税、不動産取得税なども含まれます。

  • 実質利回り =(1年間の家賃収入 – 経費)÷(物件価格 + 購入時の諸経費)× 100

物件情報は上述した条件で、年間経費が60万円、購入時の諸経費が200万円だった場合を試算します。

  • 実質利回り = (300万円 – 60万円)÷(3,000万円 + 200万円)× 100 = 7.5%

実質利回りは7.5%でした。

不動産投資をする上で経費の発生は避けられないため、実質利回りの方が正確な収益力を判断できます。

スポンサーリンク

不動産投資はリスクを理解してから始めよう

不動産投資は投資用不動産を購入し、第三者に貸し出して家賃収入を得る投資方法です。

家賃収入以外にも、購入時よりも高い価格で売却することで売却益を狙えます。

不動産投資はローンを組むことでレバレッジをかけて投資できる点や、安定した収入に期待できる点が魅力です。

ただし、空室や災害リスク、ランニングコスト(経費)がかかるなど、デメリットへの理解も必要です。

不動産投資のデメリット・リスクは全てを取り除くことはできませんが、購入前や運用中に対策することで抑えられます。

不動産投資を開始する際はしっかりと情報収集して、メリットだけではなくデメリット・リスクについても理解したうえで行いましょう。

スポンサーリンク