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ウォーレン・バフェット氏が次に投資する日本株を専門家が予想 注目は「メガバンク」と「原油ガス開発」
「万年割安」と言われる日本株だが、今後は世界中の投資家の注目を集めることになるかもしれない。米投資会社バークシャー・ハサウェイを率いる“投資の神様”ことウォーレン・バフェット氏(92)が、日本株に積極的に投資していく方針を示しているからだ。
4月11日、大手総合商社・伊藤忠商事の岡藤正広会長と鉢村剛副社長、そして広報部長の姿が都内の高級ホテルにあった。
目的は、ある大物と面会することだ。同社の“ドン”である岡藤会長が自ら足を運ぶとは、よほどのことに違いない。伊藤忠商事の社員が語る。
「来日中のバフェット氏が宿泊するホテルに会いに行っていたのです。バフェット氏の投資会社は当社の株を5%以上持つ大株主。面会した日は、情報交換をして、バフェット氏からは業績好調であることや働き方改革などを評価する言葉があったそうです。バフェット氏は長期保有の意思を示して『伊藤忠の株は当面売る気はない』という主旨のことも会長に伝えたと聞いています」
大物投資家バフェット氏の来日は各メディアで大きく報じられた
バークシャーは伊藤忠だけでなく、三菱商事や三井物産など5大商社の株をそれぞれ5%以上保有しており、今回の来日で各社の首脳と会談したと見られている。メディアのインタビューにも応じ、2020年から本格的に投資している商社の株式保有比率を各社7.4%まで高めたと明らかにした。
合算すれば、推定で1兆9000億円の日本株を保有する計算になるという。市場ではバフェット発言が好感され、11日は5大商社の株が一斉に買われて前日比3?5%高の大幅上昇となった。
さらにバフェット氏は「商社株のさらなる買い増し」と「日本のすべての主要企業への関心」を示した。バークシャーにとって日本が米国に次ぐ規模の投資先になったとも明かしており、「信頼できる経営陣と、我々が理解できるビジネスを探している」などと語った。同氏の次なる日本株投資先はどこなのか。
メガバンクが間違いなく有力!
本誌・週刊ポストは3人の専門家にバフェット氏の次なる投資先として考えられ得る銘柄を予測してもらい、一覧表に示した。バフェット氏には、長年の経験で培った独自の「投資哲学」がある。
主な投資企業の条件は「株価が割安であること」と、「事業内容が理解できること」。割安かを示す指標の一つにPBR(株価純資産倍率)があるが、日本では上場企業の半数以上が1倍未満で、企業価値に比して市場からの評価が低すぎるとされる。
バフェット氏の基準はほかにもある。「バフェット氏の投資の4割を占める米アップルのように、着実な利益を長年生み出し、株主還元に多く充てている銘柄が好まれる」(戸松信博・グローバルリンクアドバイザーズ代表)という。
自己資本に対する当期純利益の割合から算出されるROE(自己資本利益率)は企業の“稼ぐ力”を表わす重要指標だが、それが改善しているかどうかも目安の一つだ。
総合商社に続くバフェット氏の新たな選択肢をこう予測する
「個人的にはメガバンクではないかと推測します。欧米の銀行危機が次に起きて大きく下がれば、本来それに関係なく、事業内容がしっかりしているメガバンクがお買い得になるからです」
三菱UFJやみずほは株主還元にも注力して配当利回りが4%前後と高く、注目される。またバークシャーは傘下でエネルギー事業を展開しており、カブ知恵代表の藤井英敏氏は原油ガス開発国内最大手のINPEXに注目する。
「バフェット氏が米エネルギー企業や日本の5大商社株に注目するのは、世界的な人口増加に伴う旺盛な化石エネルギー需要がまだ続くと見ているからでは。同社は配当利回り4%以上と高く、PBR0.51倍と割安感が強い」
日本金融経済研究所代表理事の馬渕磨理子氏は、バフェット氏がもたらす影響は日本市場全体にとって大きいという。
日本全体に追い風となる商社で起きた動き
「バフェット氏は世界中の機関投資家・個人投資家にとっての指標であり、その視線の先に日本企業があることが世界に伝われば、日本全体に追い風となる。商社で起きた動きが日本の他企業、さらには相場全体を押し上げる可能性もあります」
はたしてバフェット氏はどう動くのか──。